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企業の管理部門を目指す方や労務として働く方はこんな悩みはありませんか?
✔ 企業における労務の役割とは?
✔ 労務のやりがいは何だろう?
✔ 労務の主な仕事内容を知りたい
そこで本記事は、企業における労務の全体像を紹介。記事を読むメリットは以下のとおりです。
〇 企業内の労務の役割が分かる
〇 労務のやりがいが分かる
〇 労務の仕事内容を把握できる
具体的には、労務の役割とやりがい、具体的な仕事内容を解説します。筆者自身の実務経験を元にした内容なので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
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労務とは
労務とは、企業における労働に付随する関連業務全般を担当する部署です。

就業規則や労使協定の作成や変更、給与計算および付帯業務が主な仕事。
ほかにも勤怠管理や安全衛生の向上など、「人」に関わるエキスパートとして従業員のサポートを通じた企業活動の円滑化がミッションです。
以下、企業における労務の役割とやりがい、人事や総務との違いを解説します。
労務の役割

労務の役割を一言でいえば、「従業員が安心して働ける組織づくり」。

法律に基づいて職場のルールや環境を構築しています。
・就業規則や労使協定の管理運用
・従業員の勤怠管理や給与計算
・安全衛生管理体制の構築…etc.
たとえば、法改正や社会情勢の変化に伴って就業規則を改訂したり、労使協定を締結したりと規則規程類の全般を管理しています。

過重労働やサービス残業防止のための勤怠管理も業務の範疇。
ほかにも職場巡視や健康診断の実施、メンタルヘルス対策など、職場環境の向上に寄与。快適な職場環境づくりを目指して、陰ながら従業員をサポートしています。
労務のやりがい

管理部門の一員として様々な役割を与えられる労務ですが、業務を通じたやりがいは大きく3つあります。
✔ 経営的なポジションで活躍できる
✔ 幅広いスキルが身に付く
✔ 縁の下の力持ち的な存在
労務のやりがいの一つは、経営的なポジションで活躍できること。労務では、就業規則や労使協定、人事制度などの管理運用を経営層と一体となって行います。

就業規則を変更したり、人事制度を見直したり、責任の大きなタスクを担当。
経営陣へのプレゼンや労働組合との協議、従業員代表への説明など、経営的なスタンスが求められることが多いです。
労務のやりがい二つ目は、幅広いスキルが身に付くこと。労務は規則や規程の運用以外にも、様々な業務を担当しています。
・雇用契約の締結や更新
・勤怠管理および給与計算
・福利厚生の手続き
・健康診断やストレスチェックの手配
・従業員からの相談やトラブルの対応
労務は従業員の入社~退職における一連の手続きを担います。雇用契約の締結からはじまり、労働保険や社会保険の加入手続き、勤怠管理や給与計算、福利厚生の手続きにいたるまで、守備範囲が広いのが特徴。

業務を通じてバックオフィスの幅広いスキルを得られます。
そのほか労務では、福利厚生の手続きを通じて、従業員の結婚や出産、転勤などのライフイベントに寄り添う場面も出てきます。職場での悩みやトラブルで相談を受けることも少なくありません。

まさに縁の下の力持ち的な存在。
業務を通じて、従業員のビジネスライフを支えているというのも労務の大きなやりがいです。
人事や総務との違い

人事や総務と混同されやすい労務ですが、企業における役割はそれぞれ異なります。
<企業における役割>
労務:従業員の労働環境の整備
人事:従業員の採用や能力開発
総務:組織運営の円滑化
「労務」の役割は、国や会社が掲げた方針に従って従業員の労働環境を整備すること。法律に基づく業務が大半を占めており、高い専門性が求められる部署です。

企業規模によって人事や総務が兼ねるケースもあります。
<労務の主な仕事内容>
・規則規程類の管理運用
・勤怠管理
・給与計算および社会保険手続き
・年末調整
・労働契約管理
・安全衛生管理
・労務トラブル対応
その一方「人事」の役割は、企業が掲げる戦略や方針に従って人材の採用~配置、能力開発や教育を行い、組織の生産性向上を図ることです。

人事の主な仕事内容は以下のとおり。
<人事の主な仕事内容>
・人材採用
・教育や研修体制の整備
・OJTの実施
・人材配置や異動の辞令
・人事考課制度の管理運用
人材の採用や教育・研修を通じた能力開発、配置や評価など、「人」を中心とした業務で構成されている点が労務との違いです。
「総務」の主な役割は、事業活動が円滑に進むよう他が担当しない業務を一手に引き受けること。

総務の主な仕事は以下のとおりです。
<総務の主な仕事内容>
・備品の発注や設備の保守管理
・事務所や会議室などの施設管理
・社外からの問合せ窓口
・郵送物や接待交際関連の対応
・社内行事の企画運営…etc.
総務は、労務や人事のように明確なミッションをもたず、他部署で対応できない業務を担当するのが役割。名刺などの消耗品の発注や社用車の保守管理、電話やネットワーク環境の整備、会議室の貸出なども行います。
ほかにも、郵便物の受け取りや取引先との交際対応(年賀状、お中元、お歳暮の手配…etc.)、式典などの社内行事にも対応。人事や労務と比べて業務のバリエーションが多いのが特徴です。
労務の仕事内容
ここまで、企業における労務の役割とやりがい、人事や総務との違いを解説しました。以下では、具体的な労務の仕事内容について紹介します。
規則規程の管理運用

労務の仕事内容1つ目は、規則・規程の管理運用です。労務では就業規則をはじめ、労使協定や内規など、規則・規程類の全般を管理しています。
<労務が管理する規則や規程>
・就業規則
・労使協定
・内規
会社で働くための基本的ルールである就業規則や労使協定は、法改正や社会情勢の変化に伴い変更が求められるため、見直しが欠かせません。
なかでも時間外労働を行わせる上で必須の36協定は、厚労省の手引きでも「有効期間を1年とすることが望ましい」と明記されています。

変更における労働組合や従業員代表との協議も労務が対応。
その他、企業独自に定める「内規」の管理も労務の仕事です。
<内規とは>
企業や行政機関等の組織内部における規則
具体的には、企業内の業務を円滑に進めるために定められた決まりごとやルールを指します。

法的拘束力はないものの、適正な企業運営と法令違反防止のため厳格な運用が求められます。
内規の種類は企業によって異なり、文書管理規程や情報管理規程をはじめ、人事評価規程、育児介護休業規程、副業・兼業規程など、様々なものが存在します。
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従業員の勤怠管理

労務の主な仕事内容2つ目は、従業員の勤怠管理です。
<勤怠管理とは>
従業員の就業状況を、雇用主が正しく把握し管理すること

労務が勤怠管理する理由は、給与計算業務で勤怠データを集約しているから
具体的には、日々の出退勤時刻をはじめ、時間外労働時間、休日出勤や欠勤の日数、有給休暇の取得状況などのデータをチェックしています。
<勤怠管理の一例>
・申請時間と実労働時間に乖離がないか
・残業や休日出勤を正しく申請しているか
・振替休日や代休を取得しているか
・36違反となる過重労働をしていないか
・年休を適切に取得しているか…etc.
最近では、長時間労働の抑制や過労死の防止など労働者保護の観点から、厚労者が労働時間削減を積極的に推進。
2019年の法改正においては、時間外労働の上限が罰則付きで法律に規定されるなど、大幅に規制が強化されました。

テレワーク普及も相まって勤怠管理は企業における喫緊の課題!
長時間労働の抑制をはじめ、オフィス以外で働く従業員をどのように管理していくか、勤怠管理の重要性はますます高まっています。
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給与計算と付帯業務

労務の仕事内容3つ目は、給与計算と付帯業務。労務は従業員から申告のあった勤怠データを元に毎月の給与計算を行います。

従業員に支払う給与のほか、保険料や税金などの法定控除額も算出します。
<法定控除>
・雇用保険料
・健康保険料
・厚生年金保険料
・介護保険料(40歳以上が対象)
・住民税
・所得税
天引きした保険料は、労働保険料が年1回、社会保険料が毎月、労働局と日本年金機構へそれぞれ納付。住民税は、前1年間の給与情報を記載した「給与支払報告書」を作成の上、毎年1月に自治体へ提出しています。
労使協定に基づいた項目(協定控除)も算出して給与から天引き。
<協定控除(例)>
・寮費
・社宅費
・旅行積立金
・社内預託
・労働組合費…etc.
※協定控除の項目は会社によって異なる

上記のほか年末調整業務も労務が担当します。
<年末調整とは>
給与の源泉徴収税を再計算して、還付や徴収を行うもの。
年間給与所得が2000万円を超える者や災害減免法によって所得税の徴収猶予を受けている者などを除き、全ての従業員が対象。年末~年始にかけて以下の対応が発生します。
①申告書の提出依頼・確認修正
②年調年税額の計算・還付徴収
③法定調書の提出・納付
給与計算だけではなく、会社(給与等の支払者)の義務として所得税法などに定められた付帯業務の対応を求められるのが特徴です。
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公的保険の手続き

労務の仕事内容4つ目は公的保険の手続き。労務は、従業員の入退社やライフイベントに伴って発生する公的保険の手続きを行っています。
<手続きが発生する公的保険>
・労災保険
・雇用保険
・健康保険
・厚生年金保険
・介護保険
たとえば、従業員の入退社が発生した場合、雇用保険の取得・喪失(離職票の発行)、健康保険と厚生年金保険の加入・脱退の手続きを行います。
出産に伴う育児休業給付金の申請、扶養家族に変更があった場合の被扶養者(異動)届など、ライフイベントに応じた手続きにも対応。

従業員が業務で怪我をした場合は、労災保険の給付を申請します。
手続き先は、労災保険が労働基準監督署、雇用保険がハローワーク、健康保険と厚生年金保険は年金事務所、介護保険は自治体とバラバラ。申請要件や手続き方法も異なるため、幅広い知識が求められます。
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労働契約管理

労務の主な仕事内容5つ目は労働契約の管理。労務は、正社員・嘱託・契約・パート・アルバイトなど、雇用形態を問わず、従業員全般の労働契約を管理しています。
<労働契約に関する手続き>
・労働条件通知書の交付
・雇用契約書の取り交わし
・雇用契約書の保管
・契約更新の意思確認
・期間満了通知書の交付…etc.
たとえば、新たに労働契約を締結する者には労働条件通知書を交付。労働者と雇用契約を取り交わし、契約書の原本を受け取ります。

人事データベースに個々の契約情報を入力するまでが一連の流れです。
パートやアルバイトなどの非正規労働者には、契約期間満了前に更新の意思を確認し、希望に応じて契約更新または終了の手続きを行います。
非正規労働者の割合が多い企業は、1年を通して入社や退職に伴う手続きを行っているため、労務のなかでも作業量の多い仕事です。
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安全衛生管理

労務の主な仕事内容6つ目は安全衛生管理。労務は労働安全衛生法に基づき、従業員の健康および精神面の衛生管理を行っています。
<安全衛生管理の例>
・職場巡視
・定期健康診断
・ストレスチェック
・産業医面談の実施
・労基署への報告…etc.
安全衛生管理の代表的な例が「職場巡視」。

職場における労働衛生面の問題を早期発見することを目的としています。
<職場巡視の項目>
・室内の照明、換気、気温、湿度が適切か
・職場の清掃が行き届いているか
・トイレや洗面所が清潔に保たれているか
・地震や防災対策が講じられているか
・安全衛生保護具を適切に保管しているか
※チェック項目は企業によって異なる
なお、常時50名以上の労働者がいる事業場では、労働安全衛生規則によって週間に1回以上「衛生管理者」による職場巡視が義務付けられます。

従業員の健康診断やストレスチェックも安全衛生管理の一環。
健康診断は労働安全衛生法に基づき、従業員の雇入れ時のほか、年1回以上定期的に行なう必要があります。2015年12月からは常用雇用者50人以上の事業者に対して「職業性ストレスチェック」の実施も義務化。
企業におけるメンタルヘルス対策普及も相まって安全衛生管理の幅も広がっています。
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労務トラブル対応

労務の仕事内容7つ目は労務トラブル対応。労務は、職場で起こり得るさまざまなトラブルの対応を行っています。
<労務トラブルの例>
・上司からのパワハラやセクハラ
・同僚からのいじめ
・長時間労働の常態化
・サービス残業の横行
・従業員の安否確認…etc.
労務トラブルでよくある事例は、上司のパワハラやセクハラ。社内のホットラインを通じて、被害者から労務に通報が入ることで発覚するケースが大半を占めます。

職場内のいじめやトラブル(ケンカや金銭トラブルなど)も同様です。
労務は通報を受けた後、加害者を含めた職場内のメンバーにヒアリングなどの調査を実施。いじめなどの事実が認定された場合は、加害者を懲戒処分にかけるケースもあるため、慎重な対応が求められます。
「長時間労働が横行している」「サービス残業を強制された」などの相談にも対応。業務分担の見直しや正しい労働時間の申告を管理職者へ指導したりもします。

再発防止の教育や未払賃金の清算など全社的な対応に発展するケースも。
そのほか、無断欠勤に伴う従業員の安否確認なども業務の範疇。状況に応じて、本人の自宅を訪問したり、大家さんや警察と連携したりする事案も出てきます。
労務トラブルは突発的に発生するため、プロパー業務との優先順位をふまえて、臨機応変な対応が求められます。
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まとめ
以上、労務のやりがいと具体的な仕事内容を解説しました。

労務は「従業員が安心して働ける組織づくり」を担う管理部門の中核的存在
経営に近い仕事がしたい、縁の下の力持ちとして従業員を支えたいという方におすすめします。
別の記事で「労務に向いている人の特徴」や「労務に求められる基礎知識」を紹介しているので、気になる方はこちらもどうぞ。