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労務部門で働く方はこんな悩みはありませんか?
✔ 日々の業務でよく行き詰まる
✔ 労務としてのスキル不足を感じる
✔ 何を勉強したらよいか分からない
そこで本記事では労務に求められる知識について紹介!
記事を読むメリットは次のとおりです。
〇 業務を円滑にこなすヒントが掴める
〇 労務に求められるスキルを把握できる
〇 自己啓発で知識を得るきっかけになる
具体的には、労務の主な役割を元に業務に必要な知識と理由を解説します。
10年以上の実務経験に基づく内容なので、労務に携わる方はぜひ参考にしてみてください。
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労務に求められる基礎知識
以下、労務の主な役割をもとに業務で求められる基礎知識7選を解説します。
規則規定
労務に求められる基礎知識一つ目は、規則規定に関する知識です。
規則規定の知識が必要な理由は次のとおり。
✔ 就業規則や労使協定を管理するため
✔ 法改正等に伴う改訂に対応するため
✔ 労働組合や従業員等へ説明するため
労務部門は、企業の就業規則をはじめ労使協定や内規等の規則規定類をまとめて管理しています。
・就業規則
・労使協定
・各種内規…etc.
例えば、就業規則には就業に関する諸条件の他、賃金や退職金に関する規定が含まれています。
労使協定では、時間外労働に関わる36協定やフレックスタイム制の導入に必要な変形労働協定など勤務形態に応じた協定がずらり。
そのほか、業務を円滑に進める上で独自に定める各種内規(職務権限規程や文書管理規程など)も労務部門で管理するケースが多いです。
時には、法改正や社会情勢等の変化に応じて規則規定類を改訂するケースも出てきます。
規則規程の改訂にあたっては、労働組合(または従業員代表)と協議して同意を取り付ける必要があるなど、相手を説得するだけの理解力が必須!
そのため、労務部門担当者には規則規定に関する幅広い知識が求められます。
勤怠管理
労務に求められる基礎知識二つ目は、勤怠管理に関する知識です。
勤怠管理の知識が必要な理由は次のとおり。
✔ 適切な給与計算や未払防止のため
✔ 時間外労働を適切に管理するため
✔ 変形労働時間制等を運用するため
労務部門は、法に則った運用とすべく社員全体の勤怠データを毎月チェックしています。
【労務がチェックする主なポイント】
✔ 申告時間と実労働時間に乖離がないか
✔ 36協定に違反する時間外労働がないか
✔ 年休等を適切に取得しているか…etc.
主な理由は、従業員の労働時間を正しく把握し、適切な給与計算や未払防止につなげるためです。
また、36協定に定めた時間外労働の上限値を超えないよう、月・年単位の時間外労働時間も管理!
その他、フレックスタイム制や変形労働時間制など、季節の繁閑に応じた働き方も運用するなど、勤怠管理全般を担っています。
そのため、労務部門の担当者は、勤怠管理の専門知識が求められます。
特に、時間外労働の上限規制は要チェック!
2019年、時間外労働の限度基準が法律に格上げされ、規制が強化されたからです。
2019年の法改正前は、36協定に特別条項を設けることで時間外労働時間は実質的に青天井でした。
しかし、法改正により、時間外労働に法に基づく絶対的な上限(罰則有り)が設けられ企業はより厳格な労働時間管理を求められています。
特に、次のような勤務体系を採用する企業は要注意!
■ 日・週単位のシフト制
■ フレックスタイム制
■ 月・年単位の変形労働時間制
上記の勤務体系は、季節的な業務の繁閑には対応しやすい反面、日・週・月の労働時間が変則的で管理ミスが起きやすいからです。
以上、労務部門では、様々な勤務体系を適切に運用できるよう勤怠管理の知識が求められます。
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給与計算
労務に求められる基礎知識三つ目は、給与計算に関する知識です。
給与計算の知識が必要な理由は次のとおり。
✔ 給与計算の仕組みを理解するため
✔ 保険料や税金を正しく算出するため
✔ 法に則って賃金を支払うため
従業員へ毎月支払う給与(手取り)は次の方法で算出されています。
総支給額(額面)-控除額=給与(手取り)
総支給額と控除額の内訳は次のとおり
〇総支給額(基準内給与+基準外給与)
└基準内:基本給+毎月固定の手当 ※1
※1 役職手当、住宅手当など
└基準外:毎月変動する手当 ※2
※2 時間外手当、休日手当など
〇控除額(法定控除+その他控除)
└法定控除:税金(所得税、住民税)、
雇保、健保、厚保の各保険料
└その他控除:組合費や財形貯蓄など
なお、企業によって運用が異なる部分もあるなど給与計算にあたって自社の仕組みを熟知しておく必要があります。
また、給与計算にはあらかじめ手順が決められています。
1:勤怠締処理
2:控除額の算出①
└不就労分(遅刻・早退・欠勤など)
3:総支給額の決定
4:控除額の算出②
└社会保険料、税金
5:差引支給額の決定
6:支給手続き
└給与明細や賃金台帳の作成、振込
7:社会保険料や税金の納付
手順を誤ると保険料や税金を正しく算出できないため、上記に沿って計算しなければなりません。
なお、法に則った運用とするには、賃金支払いの5原則の理解も不可欠!
労働者への賃金支払は、上記5原則に則ることが法律で義務付けられているからです。
たとえば、現物給与・労働者以外の者への賃金の支払・賃金の一部留保は労働基準法第24条で禁止されています。
給与計算自体に関わるわけではないものの、付帯知識としておさえておく必要があります。
以上の観点から、労務部門の担当者には給与計算の知識が求められます。
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労働保険・社会保険
労務に求められる基礎知識四つ目は、労働保険・社会保険に関する知識です。
労務に労働保険・社会保険の知識が必要な理由は次のとおり。
✔ 手続きの頻度が多い
✔ 公的機関とやりとりが発生する
✔ 手続きを誤るとトラブルになる
労働保険・社会保険に関する手続きは、労務部門のなかで比較的発生頻度の多い業務です。
業務中のケガによる労災申請、退職に伴う離職票の発行、入退職に応じた健康保険や厚生年金保険の加入脱退など、随時手続きが発生します。
なお、手続きは労基署・ハローワーク・年金事務所などの公的機関へそれぞれ届け出ます。
書類不備の指摘や修正指示などのやりとりが発生することも…
そのため、労働保険・社会保険の知識をある程度備えておかねばなりません。
その他、労働保険・社会保険は、手続きを誤ると思いがけないトラブルに発展する事があります。
労働保険・社会保険に関するトラブル例
✔ 退職理由への異議申し立て
✔ 健康保険証の発行遅延
✔ 保険料の未納に伴う清算
トラブルが起きやすい手続きの一つは、雇用保険の離職票です。
退職理由をきちんと確認せず作成すると、退職者から異議申し立てを受ける場合があります。
「会社都合」による退職なのに、退職理由の欄に「自己都合」と記載されていたなど…
なお、離職票の退職理由を変更すると、退職者の雇用保険給付や企業の助成金に影響が出ます。
<離職票の退職理由変更に伴う影響>
・退職者本人
✔ 雇用保険の求職者給付
└給付制限期間や受給期間が変わる
・企業
✔ 雇用関連の助成金
└不支給となる場合がある
そのため、社員から退職届を提出させたり、雇用保険給付の仕組みを事前に説明するなどの工夫が求められます。
また、健康保険や厚生年金保険でも手続きを怠ると様々なトラブルにつながるリスクも…
✔ 健康保険証の発行遅延
✔ 厚生年金加入期間の減少
✔ 保険料未納による追加徴収
以上の観点から、労務担当者には労働保険・社会保険の基礎知識が求められます。
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労働契約
労務に求められる基礎知識五つ目は、労働契約に関する知識です。
労働契約の知識が求められる理由は次のとおり。
✔ 雇用契約書を作成するため
✔ 雇用契約を取り交わすため
✔ 雇用契約を管理更新するため
労務部門は、プロパー業務として社員の労働条件通知書および雇用契約書を作成します。
正社員だけでなく、嘱託や契約社員、パート・アルバイトなど対象は様々…
書類作成から本人への労働条件提示、契約の取り交わしまでをワンストップで対応します。
また、有期契約者(嘱託や契約など)がいる場合は、数か月~1年で契約が切れるため、定期的な契約更新(または終了)作業も求められます。
なお、社員の労働契約管理において特に重要なのは「労働基準法」と「労働契約法」です
労基法:労基署の指導対象となる内容を規定
労契法:争い事防止の民事上のルールを規定
労働契約上の具体的な定めはそれぞれ次のとおり
労働契約 の場面 | 労働基準法 | 労働契約法 |
---|---|---|
契約締結 | ・労働条件は書面で明示する ・有期労働契約は上限3年 ※以下の場合は上限5年 ・専門知識を有する業務 ・60歳以上の労働者 | ・就業規則の内容をもって労働条件とする └合理的かつ労働者への周知を前提とする ・契約期間を短くしないように配慮 |
契約変更 | ・就業規則の内容を下回る変更は不可 | ・労使双方の合意が必要 ・使用者が一方的に就業規則を変更しても 労働者に不利な変更は認めない ・就業規則により労働条件を変更する場合 合理的かつ労働者への周知を条件とする |
契約終了 | ・解雇は30日前までに予告する ・予告なしの場合、解雇予告手当を支払う | ・合理性なく社会通念上認められない場合 無効 ・やむを得ない場合を除き、契約期間満了 までは解雇不可 |
労働契約の締結・変更・終了と各場面に応じて、労基法と労契法が定める内容は異なるので要注意
それぞれの場面で法に則った対応ができるよう、労務担当者には労働契約の知識が求められます。
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安全衛生
労務に求められる基礎知識六つ目は、安全衛生に関する知識です。
安全衛生の知識が求められる理由は次のとおり。
✔ 安全で快適な職場環境の構築のため
✔ 健診やストレスチェック実施のため
✔ 産業医や保健師などと連携するため
企業は労働安全衛生法により、職場の安全衛生を確保して、社員の健康の保持増進に努めることが求められています。
労務は、その中心的な役割を果たす部門です。
例えば、労災防止計画の策定や管理体制の構築、職場の巡視など、職場の安全衛生に関する幅広い業務に携わっています。
社員の健康診断やストレスチェックの実施も労務の守備範囲!
従業員数50人以上の場合は、健康診断やストレスチェックの結果を集約し労基署へ報告も行います
その他、過重労働防止の点から、産業医や保健師と連携し、長時間労働者のケアを行うのも労務の役割です。
多くの企業では、労務部門が全労働者の勤務時間データを管理しています。
そこから、時間外・休日労働基準時間の超過者(月45時間超or過去2~6ヶ月の月平均80時間超)を抽出し、産業医による面接指導を実施。
結果をふまえて、社内の安全衛生委員会で対応を審議したり、職場の管理監督者による時間外労働の把握と削減につなげています。
以上、労働災害防止や社員の健康の保持増進などの業務に対応するため、労務担当者には安全衛生の知識が求められます。
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労務トラブル対応
労務に求められる基礎知識七つ目は、労務トラブル対応に関する知識です。
労務トラブル対応の知識が求められる理由は次のとおり。
✔ 様々な労務トラブルに対応するため
✔ 初動対応を誤らないため
✔ 経営リスクへの発展を防ぐため
労務部門は、社内で発生する各種トラブルの対応窓口としての役割を担っています。
労働契約の不利益変更や賃金の未払いなど会社と社員間のトラブルはもちろん、社員間でのいじめやハラスメントなど、内容は様々…
いずれのケースも、それ以上事態を悪化させないために適切な初動対応が求められます。
例えば、サービス残業による賃金未払いを訴える社員が出た場合、話を聞く機会を設けなかったり初動が遅れたりすると労基署へ通報される可能性があります。
通報が入ると労基署は査察等の名目で企業を立ち入り検査するケースも…
出退勤の記録や賃金台帳等を確認され、未払賃金があったと労基署が認定した場合、過去にさかのぼって残業代などを支給しなければなりません。
なお、社員が未払い残業代をさかのぼって会社に請求できる期間(時効)は「3年」!
労基署からは、当該社員だけでなく全社的な調査と支払いを命じられるため、企業規模によっては数百万、数千万円以上の支払いが発生する事態も想定されます。
また、悪質なケースは、厚労省から企業名が公表されたり、メディアで取り上げられるなど、経営リスクに発展する可能性も!
上記の事態を防ぐためにも、労務部門の担当者は労務トラブル対応の知識が求められます。
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まとめ
以上、労務に求められる業務別の基礎知識7選を解説しました。
労務は、法律に基づく業務が大半を占めるなど、高度な専門知識を求められる部門です。
労務の仕事に行き詰まりや知識不足を感じる方は業務に応じて必要なスキルを身に付けましょう!
別記事で、労務におすすめの資格15選を紹介しているので、気になる方はこちらもどうぞ。