入試対策は不要?国内MBAにおける英語力の要否

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働きながら国内MBAを目指す社会人の方は、こんな悩みを抱えていませんか?

✔ 国内MBA入試で英語は課されるのか
✔ 授業での英語の使用頻度はどの程度か
✔ 英語の学術論文を読む機会はあるのか

国内MBAを目指す社会人が気をもむ大きな要因の一つが「英語力」。MBAともなれば「英語は出来て当たり前」と思い込む方も多いです。「社会人になって英語を勉強していない」「TOEICでハイスコアを取れない」などの理由で英語力に自信がなく、国内MBA進学を躊躇する人もいます。

そこで本記事では、国内MBA進学における英語力の要否について解説します。記事を読むメリットは以下のとおりです。

〇 MBA入試で英語を課す大学院がわかる
〇 授業における英語の使用頻度がわかる
〇 研究と英語の学術論文の関係がわかる

具体的には、国内MBAの入試情報からみた大学院ごとの英語試験の有無と、修士課程における英語の使用頻度について解説します。

さわ
さわ

私自身も、企業で働きながら大学院へ進学し、国内MBAを取得しました。

実体験を元にした内容なので、企業で働きながら国内MBAを目指す社会人の方は、ぜひ参考にしてみてください。

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大学院入試のバリエーション

国内MBA入試における英語試験の有無を説明するにあたって、まずは大学院入試のバリエーションを知ることが重要です。大学院を受験する場合、どの入試制度を選択するか決める必要があります。社会人が受験できる入試制度は主に以下の4パターンです。

【社会人が受験できる入試制度】
・一般入試(専門科目や英語有り)
・社会人入試(面接や小論文が主)
・企業推薦入試(特定の企業のみ対象)
・自己推薦入試(実績ある人のみ対象)

一般入試は、大学卒業後、そのまま大学院を目指す学生と一緒に受験する制度。研究系の大学院の場合は、専門科目や語学試験を課すことも多いです。試験対策の負担が大きく、大学生との勝負になるなど、社会人には不利な制度と言えます。

社会人入試は、「実務経験3年以上」など、社会人としての実務経験年数を出願の条件とする制度です。試験対策に時間をかけられない社会人に配慮して、「書類選考+面接」あるいは「書類選考+面接+小論文」など負担の少ない科目で受験できます。

企業推薦入試は、大学院と連携・協力関係にある企業に所属する社会人のみ受験できる制度です。社会人入試と同様、試験対策の負担が少ないのが特徴。社内で希望者を募り、企業が学費を負担するケースもあれば、一定の条件に該当する社員が自費で進学する場合もあるなど、進学の仕方は企業によって様々です。

自己推薦入試は、志望する研究科や専攻に関する領域で高い実績や資格を有する人を対象とした制度です。出願条件は大学院によって異なります。社会人入試同様、試験対策の負担は少ない分、自己推薦書の出来が合否を左右します。

大学院入試科目の組み合わせ例

大学院を受験する際の選抜方法の組み合わせは、おおむね以下の5パターンに分類できます。

【大学院入試における選抜方法】
①書類選考+面接
②書類選考+面接+小論文
③書類選考+面接+専門科目
④書類選考+面接+小論文+専門科目
⑤書類選考+面接+小論文+専科+英語

専門科目とは、志望する分野(MBAなら経営学)の大学卒業レベルの知識を問う試験のこと。大学院によっては専門科目のなかで英語力を問う場合もあります。そのほか、書類審査に小論文を含めたり、面接で口頭試問を行う場合もあるなど、受験先によって細かな違いがあるのが特徴です。

なお、社会人入試に多いパターンは、①「書類選考+面接」②「書類選考+面接+小論文」の二つになります。

国内MBA入試の英語有無

ここまで大学院入試のバリエーションについて解説しました。では、実際に国内MBAの社会人入試に絞った場合、試験で英語を課す大学院はどの位あるのか?働きながら通える夜間プログラムのMBAコースを開講する大学院17校の入試情報をもとに解説します。

社会人入試は英語無しの大学院が大半

結論、国内MBAの社会人入試では、ほとんどの大学院で英語を課していません。下の表は、夜間プログラムのMBAコースを開講する大学院17校の入試における英語試験の有無です。

大学院名研究科(専攻)課程、コース、プログラム名英語試験の有無補足
一橋大学大学院経営管理
(経営管理)
経営学修士コース
◇経営管理プログラム
◇金融戦略・経営財務プログラム
筑波大学大学院人文社会ビジネス科学
(ビジネス科学)
経営学学位プログラム
横浜国立大学大学院国際社会科
(経営学)
社会人専修コース
(MBAコース)
埼玉大学経済経営系大学院人文社会科学経済経営コース
神戸大学大学院経営学
(現代経営学)
専門職学位課程
(MBAコース)
・第1次選考で英語の筆記試験(60分)有り。
 └英和辞書1冊持ち込み可。
・ただし、以下いずれかに該当する場合は免除
 ①TOEFL®(Internet-Based Test)120点中80点以上の者
 ②TOEIC®テスト730点以上の者
 ※出願締切日の前2年以内に受験したスコアシート原本の提出要
九州大学大学院経済学
(産業マネジメント)
専門職学位課程・第2次試験で英語の筆記試験有り。
・出願時に英語能力の証明書類※を提出しなかった者のみ実施
 ※TOEFL®またはTOEIC®の検定証明書を指す
東京都立大学大学院経営学
(経営学)
経営学プログラム
兵庫県立大学大学院社会科学
(経営専門職)
地域イノベーションコース
早稲田大学大学院経営管理夜間主総合プログラム※以下に該当する場合、英語能力の証明書(写し)を提出。
・オンライン出願時、志願者情報の「8.その他資格・検定試験成績等」にTOEIC®やTOEFL®、英検の成績を入力した場合。
明治大学大学院グローバル・ビジネス
(グローバル・ビジネス)
専門職学位課程
青山学院大学大学院国際マネジメント
(国際マネジメント)
専門職学位課程
(イブニングコース)
・自己の学力および能力を証明するのに効果的と思われる以下書類があれば証明書の写しを提出(任意)。
 ①TOEIC®
 ②TOEFL®
 ③IELTS
立教大学大学院ビジネスデザイン
(ビジネスデザイン)
博士課程前期課程
中央大学大学院戦略経営
(戦略経営)
MBAコース・外国語能力(英語等)に関する証明書類等の提出は任意。
 ※審査において加点評価はしない旨、入試要項に記載有り。
・提出する際は出願フォームへPDFデータをアップロード。
法政大学大学院経営学
(経営学)
夜間コース
関西学院大学大学院経営戦略
(経営戦略)
企業経営戦略コース
同志社大学大学院ビジネス
(ビジネス)
専門職学位課程
立命館大学大学院経営管理
(経営管理)
マネジメントプログラム
出典:各大学院のMBA入試要項より

上記17校のうち、入試時に英語試験があるのは神戸大学と九州大学の2校のみ。しかも、両大学ともTOEIC®やTOFEL®などの英語能力を証明する書類を提出すれば英語試験は免除されます。その他、早稲田、青山学院、中央の3校で出願時の参考情報として取り扱う程度

以前は、国内MBA入試で英語を課す大学院も多かったのですが、大学院入試の簡素化も相まって、最近はほとんど撤廃しているのが実情です。

英語力より「優れた問題意識」を重視

最近の国内MBA入試では、英語を課す大学院が少なくなりました。高度な職業人材を求める社会的なニーズを受け、大学側が入試を簡素化して門戸を広げた結果です。しかし、英語が課されない要因は他にもあります。それは国内MBA入試では、英語力よりも「優れた問題意識」を重視しているからです。

さわ
さわ

優れた問題意識を重視する主な理由は国内MBAは事例研究がだから。

国内MBAでは、先行研究から導かれた帰結やフレームワークを用いて、企業が抱える様々な課題をどのように解決するかを研究します。そのため、職務上の問題意識から研究テーマを導き出し、修士論文としてまとめられるかがポイント。もう少し具体的に言えば、職務経験に基づいた切り口のよい問題意識を持っていることが重視されます。

さわ
さわ

研究では、学術的な「新規性」と「面白さ」が求められるからです。

国内MBAの研究では、その研究テーマが過去に研究されていないこと(新規性)、どんな結果が出るか蓋を開けてみないと分からない「面白さ」が要求されます。そのため、ありふれた内容や帰結が容易に想像できるような問題意識では、MBAの研究テーマには不十分というわけです。

国内MBAを目指す上では、学術的な「新規性」と「面白さ」につながる、切り口のよい問題意識を持ちましょう。

英語がある場合は専門用語をマスター

上記では、国内MBAの社会人入試において英語が課される大学院はほとんどありませんでした。しかし、上記以外の大学院やコース、一般入試を選択する場合など、入試で英語を課される可能性は十分あります。その場合にポイントとなるのが「専門用語の英単語」です。

大学院入試の英語の筆記試験では、専門分野に関連する英文のリーティング・ライティング問題が出題されることが多いです。そのため、専門用語の英単語をマスターすることが重要な対策となります。特に、英語が苦手な人が基礎から英語力を高めるには時間がかかるので、現状の英語力に応じて効率的な学習方法を探るのがポイントです。

先述した神戸大学と九州大学のMBA入試のように、筆記試験の代わりに、TOEIC®やTOEFL®などのスコア提出を求める大学院もあります。この場合もスコアアップにはかなり時間を要するので、大学院ごとに求められるスコアを確認した上で、早めに英語学習をスタートすることが重要です。

なお、アガルートアカデミーは国内MBA入試対策の単科講座として「TOEIC®解答スキルマスター&解答速度超スピードUP実演講座」を開講中!TOEICスコア500~700点から900点以上を目指す方を対象に、解答速度を飛躍的にアップさせるための講座です。短期間でスコアアップを目指す方におすすめします。

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国内MBA進学後の英語の使用頻度

ここまで、国内MBA入試における英語試験の有無について解説しました。結論として、国内MBAの社会人入試において、大半の大学院で英語試験は課されないのが実情です。では、国内MBAに進学する上で英語力は必要ないのか?

さわ
さわ

答えはNO!実は、国内MBA進学後は相応の英語力が求められます

以下、私の実体験をふまえて、国内MBAの授業と研究(修士論文執筆)における英語の使用頻度について解説します。

授業ではリーディングスキルが必須

まず、国内MBAの授業を受けるにあたって、英語のリーディングスキルは必須です。MBAコースの授業の大半は、英語の文献や学術論文、参考書をベースに授業を進めるからです。理由は、経営学などの分野は日本に比べて欧米の研究が先行していることが挙げられます。

さわ
さわ

最新の研究や論文を授業に取り入れる教授ほど、欧米の文献をよく使います

基本的に和訳はついていないので、予習の段階で自分で翻訳し内容を理解しなければなりません。なお、授業では、宿題として文献の要約および内容に関するプレゼンテーションがよく課されます。そのため、英語が苦手な方は、授業の予習やプレゼンの準備にあたり苦戦しがちです。

さわ
さわ

勘違いしないでほしいのは授業自体は日本語で行われるということ。

英語が苦手だからといって授業で何を話しているか分からないということはありません。ですが、働きながら大学院に通う社会人が授業の予習や復習に充てられる時間には限りがあります。まして英語の文献を翻訳することだけに時間を使うわけにもいきません。

そのため、国内MBAに進学する段階で、英語の文献をスラスラ読み込める位のリーディングスキルを身につけておきましょう。

さわ
さわ

TOEIC®(L&Rテスト)なら、スコア800点以上が目安です。

参考まで、資格の大原によるTOEIC®スコア別の英語力目安は以下のとおり。

TOEICのスコア
(10~990点)
英語力のレベル補足
400点未満中学レベルの英語の復習が必要・ゆっくり話すことで、簡単な英会話を理解できるレベル。
・限られた語彙や文法は理解できるが、知らない内容が出てくると、文章中の情報を推測するのは難しい。
400点台高校レベルの英語がある程度理解できている・英語の看板を見て、どんな店なのかを理解できるレベル。
・中学レベルの英語がある程度身についており、簡単な意思疎通ができる。
500点台中学・高校レベルの英語の基礎が身についている・高校レベルの英語を理解し、英語の基礎ができているレベル。
・街中の電車やバス、飛行機の時刻表をスムーズに理解できる。
・簡単な質問を理解し、応答することができる。
600点台簡単なビジネス英語が理解できる・スコアを履歴書に書けるレベル
・英語の基礎は出来ており、仕事で英語を役立てられる。
・自分宛ての簡単なメモなどを理解できる。
・道に迷ったとき、ゆっくり話してもらえば、目的地までの順路を理解できる。
700点台ビジネス上の意思疎通ができる・TOEIC受験者のなかでも上位30%に入るレベル。
・業務の説明や社内文書など、業務に関連する内容を理解できる。
・買い物や簡単な日常会話には困らない。
800点台ツールとして英語を駆使して仕事ができる・英語を駆使しながら仕事に役立てられるレベル。
・英語で書かれた文章から、必要な情報を探し出すことが可能。
・職場で仕事について議論する際、ある程度の内容を理解できる。
・自分の意見を理由や背景も含めて伝えられる。
900点以上正確で流暢な英語が使える・受験者のわずか上位4%に入るレベル。
・自分の専門分野の高度な専門書を読んで理解できる。
・ネイティブの方々の議論を耳にして、すぐに理解できる。
・長文や予測が難しい場面でも意味を正確に読み取れる。
・ビジネスでの実践的な英語力が備わっている。
出典:資格の大原【TOEIC点数別】英語力の目安

TOEIC®でスコア800点以上は、英語で書かれた文献やホームページから必要な情報を探し出せるレベル。日本語と同じくらいのスピードで英文を読めるようになります。

英語が入試科目になかったとしても、国内MBAを目指す方は、進学後に困らないよう相応の英語力を身につけておきましょう。

研究活動においても英語力は不可欠

国内MBAでは、授業だけでなく研究活動においても英語力が求められます。研究にあたり、大半の場合は欧米の学術論文(原書)を読むからです。理由は「研究テーマの新規性」を調査するため。欧米の学術論文、特に社会科学の分野は日本より研究が進んでいることが挙げられます。

さわ
さわ

自分の研究テーマがすでに研究されていないかを調査するため、欧米の学術論文を読みます。

すでに同じテーマの先行研究がある場合、どの段階まで研究が進んでいるのか(どこからは未着手なのか)も調べます。これは国内MBAに限らず、論文を執筆する際にかならず必要な作業です。

なお、国内MBAの修士論文は日本語で執筆するため、執筆自体に英語力は求められません。また、欧米の文献でも有名なものは、日本語の翻訳版が出版されている場合もあります。ですが、全ての学術論文が翻訳されているわけではないので、大抵は英語で書かれた原書を読むことになります。

さわ
さわ

そのため、研究においても英語力(特にリーディングスキル)が求められるというわけです。

「先行研究調査は日本の学術論文を読めばいい」と考える方もいるかもしれませんが、日本の社会科学の研究は欧米と比べてかなり遅れています。最新の研究をふまえた上で修士論文を書くには、日本の学術論文だけは不十分なのです。

国内MBAを目指す際は、研究活動においても相応の英語力が求められることを理解しましょう。

まとめ

以上、国内MBA進学における英語力の必要性について解説しました。最近は、国内MBA入試で英語を課す大学院は少なくなりました。ですが、国内MBAに進学後、授業や研究活動において英語力が求められるのは確かです。

さわ
さわ

社会人として働きながら大学院に通うには時間の工夫が必要

そのため、進学後に英語を学んでいる時間はありませんし、仕事や授業の予習・復習、研究活動の時間を確保する上でも、英文を読むことだけに多くの時間を割くわけにもいきません。進学後に困らぬよう、国内MBAを目指す社会人はあらかじめ相応の英語力を身につけておきましょう。

\国内MBA進学に向けて英語力を磨こう/

国内MBA進学における大学院選びのポイントや研究計画書の書き方について知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

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