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企業の第一線で働く社会人の方は、こんな悩みはありませんか?
✔ 仕事でストレスがよく溜まる
✔ 自分がメンタルを病まないか心配
✔ ストレスの少ない職場で働きたい
そこで本記事では、メンタル不調に陥りやすい業種・職種と精神的に楽な(ストレスの少ない)仕事を紹介。記事を読むメリットは以下のとおりです。
〇 メンタル不調の多い業界がわかる
〇 メンタル不調の原因がつかめる
〇 低ストレス職場を探すヒントになる
具体的には、厚生労働省が毎年公表している「過労死等の労災補償状況」のデータを元に、メンタル不調が多い業種・職種の上位15選を解説します。業種と職種は日本標準産業分類を元にした分類です。また上記データからみたメンタル不調の要因をふまえて、精神的に楽な(ストレスの少ない)仕事についても紹介します。
ストレスの少ない企業に転職したい、仕事におけるメンタル不調を回避したいという方の一つの指標になれば幸いです。
メンタル不調が多い仕事とは
以下、厚労省が取りまとめた令和3、4年度の過労死等の労災補償状況※を元に、業種・職種別のメンタル不調発生状況について解説します。
※過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数および「業務上疾病」と認定した労災保険の支給決定件数を年1回取りまとめたもの。
本記事では、上記資料のなかから「精神障害に関する事案の労災補償状況」のデータを引用。仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害=メンタル不調と定義した上で解説します。
メンタル不調が多い業種15選
令和4年度の「労災請求件数」からみたメンタル不調が多い業種(中分類の上位15選)は以下のとおりです。
順位 | 業種(大分類) | 業種(中分類) | 請求 件数 |
---|---|---|---|
1 | 医療、福祉 | 社会保険、 社会福祉、 介護事業 | 327 |
2 | 医療、福祉 | 医療業 | 294 |
3 | 運輸業、郵便業 | 道路貨物運送業 | 147 |
4 | 建設業 | 総合工事業 | 95 |
5 | 情報通信業 | 情報サービス業 | 85 |
6 | 宿泊業、飲食サービス業 | 飲食店 | 81 |
7 | サービス業 (他に分類されないもの) | その他の事業サービス業 | 80 |
8 | 卸売業、小売業 | その他の小売業 | 68 |
9 | 製造業 | 輸送用機械器具製造業 | 67 |
10 | 教育、学習支援業 | 学校教育 | 62 |
11 | 卸売業、小売業 | 各種商品小売業 | 59 |
12 | 製造業 | 食料品製造業 | 54 |
13 | 卸売業、小売業 | 飲食料品小売業 | 51 |
14 | 学術研究、 専門・技術サービス業 | 専門サービス業 (他に分類されないもの) | 49 |
14 | 卸売業、小売業 | 機械器具小売業 | 49 |
一方、令和4年度の「労災支給決定件数」でみた場合のメンタル不調が多い業種(中分類の上位15選)がこちらになります。
順位 | 業種(大分類) | 業種(中分類) | 支給決定 件数 |
---|---|---|---|
1 | 医療、福祉 | 社会保険、 社会福祉、 介護事業 | 85 |
2 | 医療、福祉 | 医療業 | 79 |
3 | 運輸業、郵便業 | 道路貨物運送業 | 37 |
4 | 建設業 | 総合工事業 | 33 |
5 | 宿泊業、飲食サービス業 | 飲食店 | 31 |
6 | 情報通信業 | 情報サービス業 | 21 |
6 | 卸売業、小売業 | その他の小売業 | 21 |
8 | 教育、学習支援業 | 学校教育 | 18 |
8 | 卸売業、小売業 | 飲食料品小売業 | 18 |
10 | 卸売業、小売業 | 機械器具小売業 | 16 |
11 | 製造業 | 食料品製造業 | 15 |
11 | 製造業 | 金属製品製造業 | 15 |
13 | 建設業 | 設備工事業 | 13 |
14 | 製造業 | 電気機械器具製造業 | 12 |
14 | サービス業 (他に分類されないもの) | その他の事業サービス業 | 12 |
14 | 学術研究、 専門・技術サービス業 | 専門サービス業 (他に分類されないもの) | 12 |
結果は、労災請求件数および支給決定件数ともに「社会保険・社会福祉・介護事業」「医療業」「道路貨物運送業」がトップ3を独占!小売業、サービス業、製造業も複数ランクインするなど、メンタル不調が多発する業種には偏りがあることが伺えます。
メンタル不調が多い職種15選
令和4年度の「労災請求件数」からみたメンタル不調が多い職種(中分類の上位15選)は次のとおりです。
順位 | 職種(大分類) | 職種(中分類) | 請求 件数 |
---|---|---|---|
1 | 事務従事者 | 一般事務従事者 | 442 |
2 | 専門的・技術的職業従事者 | 保健師、助産師、看護師 | 171 |
3 | 販売従事者 | 営業職業従事者 | 162 |
4 | 販売従事者 | 商品販売従事者 | 142 |
5 | サービス職業従事者 | 介護サービス職業従事者 | 129 |
6 | 輸送・機械運転従事者 | 自動車運転従事者 | 128 |
7 | 専門的・技術的職業従事者 | 社会福祉専門職業従事者 | 123 |
8 | 生産工程従事者 | 製品製造・加工処理従事者 (金属製品を除く) | 99 |
9 | サービス職業従事者 | 接客・給仕職業従事者 | 89 |
10 | 運搬・清掃・包装等従事者 | 運搬従事者 | 75 |
11 | 専門的・技術的職業従事者 | 情報処理・通信従事者 | 66 |
12 | サービス職業従事 | 飲食物調理従事者 | 61 |
13 | 生産工程従事者 | 製品製造・加工処理従事者 (金属製品) | 56 |
14 | 専門的・技術的職業従事者 | 建築・土木・測量技術者 | 53 |
15 | 管理的職業従事者 | 法人・団体管理職員 | 51 |
一方、令和4年度の「労災支給決定件数」でみた場合のメンタル不調が多い職種(中分類の上位15選)がこちらになります。
順位 | 職種(大分類) | 職種(中分類) | 支給決定 件数 |
---|---|---|---|
1 | 事務従事者 | 一般事務従事者 | 74 |
2 | 専門的・技術的職業従事者 | 保健師、助産師、看護師 | 46 |
3 | 販売従事者 | 営業職業従事者 | 45 |
4 | 輸送・機械運転技術者 | 自動車運転従事者 | 42 |
5 | サービス職業従事者 | 介護サービス職業従事者 | 39 |
6 | 販売従事者 | 商品販売従事者 | 38 |
7 | 生産工程従事者 | 製品製造・加工処理従事者 (金属製品を除く) | 35 |
8 | サービス職業従事者 | 接客・給仕職業従事者 | 30 |
9 | 専門的・技術的職業従事者 | 社会福祉専門職業従事者 | 26 |
10 | 生産工程従事者 | 製品製造・加工処理従事者 (金属製品) | 20 |
11 | 専門的・技術的職業従事者 | 情報処理・通信従事者 | 19 |
11 | 管理的職業従事者 | 法人・団体管理職員 | 19 |
13 | 管理的職業従事者 | その他の管理的職業従事者 | 15 |
14 | 専門的・技術的職業従事者 | 建築・土木・測量技術者 | 14 |
15 | 運搬・清掃・包装等従事者 | 運搬従事者 | 14 |
職種別でみると、労災請求件数と支給決定件数のトップ3は「一般事務従事者」「保健師・助産師・看護師」「営業職業従事者」が独占。また「サービス職業」と「専門的・技術的職業」も複数ランクインするなど、メンタル不調が多発する職種にも偏りがあることが見てとれます。
就労形態別のメンタル不調
次に「精神障害に関する事案の労災補償状況」のデータから、就労形態別の「労災支給決定件数」を比較したものがこちらです。
区分 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 |
---|---|---|---|
正規職員・従業員 | 527 | 521 | 626 |
契約社員 | 24 | 24 | 16 |
派遣労働者 | 11 | 14 | 15 |
パート・アルバイト | 38 | 62 | 48 |
中小事業主等 | 2 | 1 | 0 |
一人親方等 特定作業従事者 | 0 | 3 | 1 |
海外派遣者 | 0 | 2 | 2 |
その他 | 6 | 2 | 0 |
合計 | 608 | 629 | 710 |
令和2~4年の3年間でみると「正規職員・従業員」のメンタル不調が圧倒的に多い結果となりました。正社員ならではの職責の重さや仕事量の多さ、固定された人間関係が影響すると考えられます。
メンタル不調の要因8選
上記の就労形態別におけるメンタル不調件数を「出来事の類型」で分けたものがこちらです。
出来事の類型 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 |
---|---|---|---|
事故や災害の体験 | 133 | 98 | 131 |
仕事の失敗、 過重な責任の発生等 | 31 | 30 | 43 |
仕事の量・質 | 130 | 140 | 139 |
役割・地位の変化等 | 23 | 27 | 22 |
パワーハラスメント | 99 | 125 | 147 |
対人関係 | 94 | 86 | 101 |
セクシュアルハラスメント | 44 | 60 | 66 |
特別な出来事 | 54 | 63 | 61 |
合計 | 608 | 629 | 710 |
令和3~4年の通算でみると、メンタル不調の要因となる出来事トップは「仕事の量・質」でした。次いで近年増加傾向にある「パワーハラスメント」「事故や災害の体験」となっています。
ワースト3の出来事における具体的な内訳はそれぞれ以下のとおり。
ワースト1位
「仕事の量・質(409件)」の内訳
・仕事の内容や量の大幅な変化/207件
・2週間以上にわたる連続勤務/118件
・1か月80時間以上の時間外労働/80件
・勤務形態の変化/2件
・仕事のペース、活動の変化/2件
ワースト2位
「パワハラ(371件)」の内訳
・上司からの身体的・精神的攻撃/371件
ワースト3位
「事故や災害の体験(362件)」の内訳
・悲惨な事故や災害の体験、目撃/238件
・重度の病気やケガをした/124件
「仕事の量・質」では、仕事内容(職責)や量(残業時間の多寡)に大きな変化(増加)が生じることがメンタル不調の最たる要因でした。「パワーハラスメント」では、上司(先輩を含む)からの身体的(殴る、蹴る、叩くなど)または精神的(仕事の件で問い詰める、集団の前で罵倒するなど)な攻撃が主な理由になっています。
「事故や災害の体験」では、業務上悲惨な事故や災害を体験した場合や、他人のそれを目撃した場合もメンタル不調に陥る可能性があることが示されています。
その他、ワースト3からは漏れたもののメンタル不調の要因として見逃せないのが「対人関係」です。令和2~4年におけるメンタル不調の労災支給決定件数は「事故や災害の体験」に次ぐ281件に上ります。
「対人関係」の具体的な内訳は以下のとおり。
ワースト4位
「対人関係(281件)」の内訳
・同僚から暴行やいじめを受けた/205件
・上司とのトラブルがあった/54件
・同僚とのトラブルがあった/14件
・部下とのトラブルがあった/7件
・自分の理解者だった人が異動した/1件
・上司が替わった/0件
・同僚等に昇進で先を越された/0件
同僚(部下や後輩を含む)からの暴行や、(ひどい)いじめ・嫌がらせが突出して多く見受けられます。ついで「上司とのトラブル」がランクインしており、仕事上の指示や進め方で軋轢が生まれていることが伺えます。
一方で懇意だった人が異動したり、上司の交代、昇進スピードの差は、メンタル不調の主な要因にはなっていないなど、意外な結果も示されました。
精神的に楽な仕事とは
ここまで、メンタル不調が多発する業種・職種の上位15選と就労形態別の傾向、トリガーとなる要因について解説しました。ここからは上記の結果をふまえて、精神的に楽な(ストレスの少ない)仕事の特徴を紹介します。
仕事の量や質を調整できる仕事
精神的に楽な(ストレスの少ない)仕事の一つ目は、仕事の量や質を調整できる仕事です。令和4年度の厚労省の発表では、メンタル不調の原因で最も多かったのが「仕事の量・質」に関する出来事で、とりわけ「仕事の内容や量の大幅な変化」が最多を占める結果となりました。
そのため、業務量を絞ったり納期に余裕を持たせたりと、自分で仕事内容を調整できることがストレスを少なくするポイントといえます。具体的には以下のような働き方が該当します。
・フリーランス
・業務委託
・登録型派遣
上記はどれも自分で仕事を探してきたり、受注したりする働き方です。雇用されているわけではないので、会社都合による異動や配置転換もなし。業務量が適正か、内容がスキルに合っているか、あらかじめ仕事の量や質を調整した上で業務にあたることができます。
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仕事に口を出す上司がいない仕事
精神的に楽な(ストレスの少ない)仕事の二つ目は、仕事に口を出す上司がいない仕事です。令和4年度の厚労省の発表では、メンタル不調の原因で「仕事の量・質」に次いで多かったのが「パワーハラスメント」。上司からの身体的・精神的な攻撃がメンタル不調につながっていることが明らかになりました。
「対人関係」によるメンタル不調の内訳においても「上司とのトラブル」が第2位にランクイン。仕事のストレスに上司の存在が大きく関わっていることが示されています。
そのため仕事のストレスを低減するには、仕事に口を出す上司がいないことがポイント!
具体的には、前述した業務委託やフリーランスに加え、以下のような職種が該当します。
・各種インストラクター業
・大学の教授や講師
・士業として独立開業
たとえば、個人で活動するヨガやピラティスのインストラクターには上司がいません。「師匠」と慕う方はいるかもしれませんが、日常の業務で上司が介在する機会はほぼありません。
「大学の教授や講師」も同様です。
組織上、形式的な上長は存在するものの、基本的には個々の判断で独立して動いています。授業のカリキュラム・進め方・指導方針を決定する上で個人的な裁量が大きいのもポイントです。
そのほか「士業」として独立開業するのも一つの選択肢。人事労務関連の士業なら、「社会保険労務士」で独立開業を目指すことができます。合格率は1割未満の難関資格ですが、一生もののスキルを身に付けて働きたい方におすすめします。
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労働災害が少ない仕事
精神的に楽な(ストレスの少ない)仕事の三つ目は、労働災害が少ない仕事です。令和4年度の厚労省の発表では、メンタル不調に陥る原因で「事故や災害の体験」は第3位。業務に起因する事故や災害の体験が、メンタル不調のトリガーになることが示されています。
そのため精神的に楽な働き方をする上で、職場の安全管理は重要です。
具体的に労働災害が少ない業種は以下のとおり。
・金融、広告
・通信
・警備業
上記業種は、厚労省が毎年公表する「労働災害発生状況」において、他の業種より相対的に労働災害が少ないことが分かっています。以下は厚労省が令和4年に公表した「業種別の労働災害発生状況」です。令和2~4年における業種別の労働災害における休業4日以上の死傷者数になります。
業種 | 令和2年 (人) | 令和3年 (人) | 令和4年 (人) |
---|---|---|---|
製造業 ※死亡災害防止の重点業種 | 25,330 | 26,424 | 26,694 |
鉱業 | 199 | 216 | 198 |
建設業 ※死亡災害防止の重点業種 | 14,790 | 14,926 | 14,539 |
交通運輸事業 | 2,636 | 2,696 | 2,928 |
陸上貨物運送事業 ※死傷災害防止の重点業種 | 15,669 | 16,355 | 16,580 |
港湾運送業 | 326 | 360 | 329 |
林業 ※死亡災害防止の重点業種 | 1,272 | 1,234 | 1,176 |
農業・畜産・水産業 | 3,220 | 3,176 | 3,162 |
商業 | 20,042 | 21,438 | 21,702 |
└うち小売業 ※死傷災害防止の重点業種 | 15,257 | 16.425 | 16,414 |
金融・広告 | 1,133 | 1,238 | 1,138 |
通信 | 2,321 | 2,310 | 2,274 |
保健衛生業 | 15,708 | 17,121 | 17,237 |
└うち社会福祉施設 ※死傷災害防止の重点業種 | 11,667 | 12,797 | 12,780 |
接客・娯楽 | 8,152 | 8,237 | 9,140 |
└うち飲食店 | 4,874 | 4,745 | 5,304 |
清掃・と畜 | 6,679 | 6,562 | 6,889 |
警備業 | 1,789 | 1,958 | 1,930 |
その他 | 5,849 | 6,335 | 6,439 |
赤字の業種が、令和2~4年の期間における死傷者数のワースト5!
一方、死傷者数は少ないものの、「林業」も死亡災害防止の重点業種となっているので要注意です。また鉱業や港湾運送業は就業者の母数が少ないため、死傷者数が少ないからと安心はできません。労働災害の少なさから選ぶのではあれば、緑色で記載した「金融・広告」「通信」「警備業」の業種をおすすめします。
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まとめ
以上、メンタル不調の多い業種・職種の上位15選とメンタル不調の原因となる要因について解説しました。精神的に楽な(ストレスの少ない)仕事を探すには、「仕事の量と質」「上司の存在」「労働災害の多寡」に着目するのがポイント。ブラック企業を避けるためにも、上記要因をしっかり分析しましょう。
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