企業が資格・検定を奨励する理由と具体的な支援策とは

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スキルアップを目指し資格や検定に挑戦しようと考える方はこんな不安はありませんか?

✔ 企業は資格や検定を奨励しているのか
✔ 資格取得を重視する部門はどこなのか
✔ 資格取得は人事評価でプラスになるか

実は、業務に関する資格・検定取得を奨励したり人事評価に反映する企業は数多くあります。

そこで本記事では、企業における資格の取得奨励の状況と資格取得後の待遇について解説します。

記事を読むメリットは次のとおりです。

〇 どんな企業が資格を奨励するか分かる
〇 各部門による資格取得の重視度が分かる
〇 資格取得による人事管理の対応が分かる

具体的には(独)労働政策研究・研修機構による「企業における資格・検定等の活用に関する調査」データから、業種別・規模別の傾向を紹介。

常用雇用者100人以上の企業1465社(農林漁業と公務を除く)の回答を元にしているので、幅広い業種の資格奨励の状況がつかめます。

結論、業務に関連する資格・検定の取得は、人事評価やキャリア形成に大いに役立ちます。

色々な取得支援をする企業もあるので、仕組みを上手く活用してスキルアップを目指しましょう。

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企業は資格・検定取得を奨励している

結論、多くの企業は、仕事に関する資格・検定の取得を奨励しています

スキルアップによる生産性向上やキャリア形成、対外的な能力アピールにつながるからです。

具体的には、(独)労働政策研究・研修機構が2014年に実施した「企業における資格・検定等の活用に関する調査」データを元に解説します。

調査では、従業員に取得を奨励したり人事評価に反映するなど、企業が重視する資格・検定を58の選択肢※から5つを挙げる形を取っています。

※選択肢の内訳(計58
 ◇代表的な資格・検定:56種類
 ◇各社の社内資格・検定:1
 ◇上記以外の資格・検定:1

本記事では、便宜上、そのうち労務を中心に人事や総務など管理部門に関連する資格と各社の社内資格・検定を合わせた10項目※を紹介。

※10項目の内訳
◇管理部門に関連する資格(9つ)
 ・安全管理者
 ・衛生管理者
 ・ITパスポート
 ・MOS
 ・語学検定(英検、TOEIC、TOEFL)
 ・簿記
 ・FP
 ・中小企業診断士
 ・社会保険労務士
◇各社の社内資格・検定(1つ)

以下、業種別・規模別にみた、企業の資格・検定取得を重視する傾向について解説します。

業種別にみた資格・検定の重視傾向

常用雇用者100人以上の企業1465社(農林漁業と公務を除く)による、業種別の資格・検定を重視する傾向は以下のとおり。

各資格・検定につき、
「重視する」数/各業種の企業数
を算出し、%形式で表示。

赤字は「重視する」と回答した割合が20%以上の資格・検定

資格/業種建設業製造業電気・ガス・
熱供給・水道業
情報通信業運輸業卸売・
小売業
金融・保険・
不動産業
飲食・
宿泊業
医療・
福祉
教育・
学習支援業
サービス業
安全管理者7.224.78.30.029.55.50.08.20.07.17.5
衛生管理者17.545.633.36.152.723.08.532.92.417.925.1
ITパスポート1.02.30.022.40.83.10.00.00.03.63.0
MOS1.00.30.016.30.01.20.01.40.03.61.5
語学検定2.112.98.312.26.23.92.113.70.03.69.7
簿記18.612.18.320.48.514.134.019.27.314.310.1
FP5.20.00.02.00.00.831.90.00.00.00.4
中小企業診断士0.00.80.00.00.00.025.50.00.00.01.1
社会保険労務士2.11.50.02.02.33.58.50.00.00.04.5
社内資格・検定2.19.00.04.13.115.614.98.20.00.04.9
出典:労働政策研究・研修機構「企業における資格・検定等の活用に関する調査」

調査では、労働安全衛生法で選任が義務付けられている「安全管理者」「衛生管理者」は、複数の業種で重視割合が20%を超える結果に。

また、情報通信業では「ITパスポート」、金融・保険・不動産業では「簿記」「FP」「中小企業診断士」が20%を超えるなど、業種により重視する傾向の違いが分かります。

規模別にみた資格・検定の重視傾向

一方、常用雇用者100人以上の企業1465社(農林漁業と公務を除く)による、規模別の資格・検定を重視する傾向は以下のとおり。

各資格・検定につき、
「重視する」の数/各規模の企業数
を算出し、%形式で表示。

資格/従業員数100~
299人
300~
499人
500~
999人
1000人以上
安全管理者14.113.510.511.2
衛生管理者31.738.532.939.9
ITパスポート2.03.23.35.1
MOS1.70.61.30.6
語学検定6.610.99.919.7
簿記13.414.715.812.9
FP2.20.61.33.9
中小企業診断士1.01.32.03.4
社会保険労務士3.23.25.32.8
社内資格・検定4.66.410.520.8
出典:労働政策研究・研修機構「企業における資格・検定等の活用に関する調査」

業種別と同様、「安全管理者」「衛生管理者」は法規対応の観点から、どの規模でも重視する割合が一定以上となりました。

「簿記」は企業の収支決算書を読むなどビジネスパーソンとして必要なスキルとして、企業規模を問わず「重視する」が10%を超える結果に。

「社内資格・検定」に関しては、社内資格・検定などの教育体制が充実している大企業で重視割合が高くなる傾向が示されました。

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資格・検定を重視する理由

ここまで、業種や規模による傾向の差はあるものの、多くの企業が資格・検定を重視していることを紹介しました。

さわ
さわ

では、実際、企業はどんな理由から資格・検定を重視しているのか?

以下、企業内で労務に関連する資格・検定を重視する理由をまとめたものです。

各資格・検定につき、
「重視する」の数/各理由を選んだ企業数
を算出し、%形式で表示。

※重視する理由については「複数回答可」
赤字は各資格・検定のうち最も多かった理由

資格/理由知識・技能
(基礎)
知識・技能
(担当業務)
知識・技能
(幅広い)
キャリア
形成
法規対応業界取引対外的な
アピール
企業内の
能力評価
その他
安全管理者26.251.318.511.370.86.21.54.11.0
衛生管理者26.951.818.315.178.12.41.95.80.9
ITパスポート61.556.428.210.30.012.812.812.80.0
MOS47.661.94.814.30.09.523.89.50.0
語学検定34.847.725.850.00.014.419.718.97.6
簿記55.773.123.926.93.53.03.013.41.0
FP46.265.457.723.10.03.834.615.40.0
中小企業診断士35.075.055.050.00.05.035.05.00.0
社会保険労務士31.078.638.135.716.70.09.511.94.8
社内資格・検定56.967.234.527.62.68.621.647.42.6
出典:労働政策研究・研修機構「企業における資格・検定等の活用に関する調査」

上記から、企業が労務に関する資格・検定を重視する理由は3タイプに分けることができます。

①知識・技能習得型
②法規対応型
③キャリア形成寄与型

労務に関連する資格・検定を重視する一つ目のタイプは「知識・技能習得型」

ビジネスに必要な基礎知識や業務で求められる実践的スキルを習得すれば、生産性向上が見込めるからです。

上記の資格や検定を重視する理由で、知識・技能(基礎or担当業務)の回答が最も多かった資格・検定が該当します。

①知識・技能習得型
ITパスポート、MOS、簿記、FP、中小企業診断士、社労士、社内資格・検定

労務に関連する資格・検定を重視する二つ目のタイプは「法規対応型」

企業は、業種や規模に応じて、社内に特定の有資格者を配置することが法律上義務付けられているケースがあるからです。

上記の内、法規対応を重視するという回答が最も多かった資格・検定が該当します。

②法規対応型
安全管理者、衛生管理者

具体的には、安全管理者は、法定業種で常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに安全管理者の資格を有する者から選任しなければなりません

また衛生管理者は、職場での労働者の健康障害を防止するため、常時50人以上の労働者を使用する場合、選任が法律で定められています。

労務に関連する資格・検定を重視する三つ目のタイプは「キャリア形成寄与型」

将来的にグローバル市場を担当したり、海外赴任するなど、中長期的なキャリア形成を図る観点で必要となるからです。

上記表では、キャリア形成を重視するという回答が最も多かった資格・検定が該当します。

③キャリア形成寄与型
語学検定(英検、TOEIC、TOEFLなど)

なお、語学検定以外に、中小企業診断士と社労士も重視すると回答した割合が30%超を記録。

難関資格かつ専門性の高い業務を任せられる人材として、キャリア形成に寄与する傾向が高いことが伺えます。

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資格・検定を重視する部門

次に、企業内で労務に関連する資格・検定の取得を重視している部門を紹介します。

(独)労働政策研究・研修機構による調査結果は次のとおりです。

各資格・検定につき、
「重視する」の数/該当部門を挙げた企業数
を算出し、%形式で表示。

※該当部門は最も重視する部門1つを選択
赤字は各資格・検定のうち最も多かった理由

資格/部門管理
事務
経営
企画
法務経理
財務
広報・
宣伝
情報
システム
関連
営業・
販売
購買・
物流
研究開発・
設計・
デザイン
製造運輸建設その他会社
全体
安全管理者28.70.50.51.00.00.04.61.50.532.89.22.12.112.3
衛生管理者46.20.91.50.00.00.24.50.20.214.03.40.43.720.9
ITパスポート5.15.10.00.00.048.717.90.05.10.00.00.00.015.4
MOS28.60.00.09.50.038.14.80.00.00.00.04.80.014.3
語学検定1.50.80.00.00.00.014.41.53.00.80.80.08.365.2
簿記10.90.00.066.70.00.02.50.00.01.00.00.01.014.9
FP0.00.00.00.00.00.061.50.00.00.00.00.00.034.6
中小企業診断士10.05.00.00.00.00.020.00.00.00.00.00.00.060.0
社会保険労務士54.80.011.92.40.00.00.00.00.00.00.00.09.519.0
社内資格・検定0.90.00.00.00.01.723.30.02.623.31.70.010.334.5
出典:労働政策研究・研修機構「企業における資格・検定等の活用に関する調査」

労務に関連する資格・検定で管理事務部門で最も重視されるのは「社労士」と「衛生管理者」

社労士は、就業規則や労使協定の作成、従業員の勤怠管理、社会保険の手続きなど、管理事務部門の中核として活躍できる資格です。

衛生管理者も、職場の衛生環境を所管する立場として有資格者を配置することが管理事務部門に求められていると考えられます。

また、経理財務部門では「簿記」、情報システム部門では「ITパスポート」「MOS」など、各部門に応じて重視する資格・検定は様々。

「語学検定」「中小企業診断士」など、幅広い用途が考えられる資格・検定については会社全体で重視する傾向が高いことが示されています。

資格・検定取得者の確保方法

ここまで企業が労務に関連する資格・検定の取得を重視していることを解説しました。

では、実際に企業はどのような方法で資格・検定の取得者を確保しているのでしょうか?

(独)労働政策研究・研修機構による調査結果は次のとおりです。

各資格・検定につき、
「重視する」の数/各方法を挙げた企業数
を算出し、%形式で表示。

※確保方法については「複数回答可」
赤字は各資格・検定のうち最も多かった方法

資格/確保方法業務命令職位毎に
取得奨励
自己啓発
で奨励
有資格者
の採用
その他
安全管理者64.626.213.85.63.6
衛生管理者60.623.723.08.05.6
ITパスポート23.123.164.12.60.0
MOS19.019.076.214.39.5
語学検定6.823.574.217.42.3
簿記13.923.457.226.42.0
FP3.834.669.20.03.8
中小企業診断士0.05.085.010.05.0
社会保険労務士2.49.573.814.37.1
社内資格・検定33.641.425.02.612.1
出典:労働政策研究・研修機構「企業における資格・検定等の活用に関する調査」

上記から、労務に関連する資格・検定の取得者を確保する方法は2タイプに分けることができます

①会社主導型
②取得奨励型

労務に関連する資格・検定取得者を確保する一つ目のタイプは「会社主導型」

法規業務に充てるなど、有資格者を配置することが法律上求められるケースに対応するためです。

上記の資格では、業務命令の回答が最も多かった「安全管理者」と「衛生管理者」が該当します。

労務に関連する資格・検定取得者を確保する二つ目のタイプは「取得奨励型」

昇進昇格や中長期的なキャリア形成の観点から、自ら資格・検定を取得するよう促すためです。

具体的には、「職位毎に取得奨励」または「自己啓発で奨励」の回答が最も多かった資格・検定が該当します。

A:一定の職位までに取得を奨励
〇社内資格・検定
B:自己啓発の一環で取得を奨励
〇ITパスポート、MOS、語学検定、簿記、FP、中小企業診断士、社労士

なお、取得奨励型の資格・検定の中でも、企業主導の性格が強いもの(職位毎に奨励)従業員の意思に任されるもの(自己啓発)に分かれます。

社内で昇進・昇格を目指すならA、スキルアップやキャリアチェンジと仕事の可能性を広げるならBと、キャリア志向に応じて選択しましょう

資格・検定取得の支援方法

次に、企業による労務に関連する資格・検定取得の具体的な支援方法を紹介します。

(独)労働政策研究・研修機構による調査結果は次のとおりです。

各資格・検定につき、
「重視する」の数/各方法を挙げた企業数
を算出し、%形式で表示。

※支援方法については「複数回答可」
赤字は各資格・検定のうち最も多かった方法

資格/支援方法費用の
援助
時間的な
配慮
勉強会の
開催
特になし
安全管理者86.741.04.15.6
衛生管理者86.540.43.27.7
ITパスポート87.212.810.312.8
MOS66.719.00.028.6
語学検定63.621.215.922.7
簿記44.821.49.039.8
FP50.015.47.738.5
中小企業診断士70.015.010.020.0
社会保険労務士38.19.50.054.8
社内資格・検定37.121.651.711.2
出典:労働政策研究・研修機構「企業における資格・検定等の活用に関する調査」

上記から、企業が労務に関連する資格・検定取得を支援する方法は3タイプに分けられます。

①費用援助型
②勉強会型
③無支援型

労務に関連する資格・検定取得支援の一つ目のタイプは「費用援助型」

資格・検定取得に際し、受験料や講習会費用、テキスト代などの費用を援助するタイプです。

上記では、「費用の援助」の回答が最も多かった次の資格・検定が該当します。

費用援助型
安全管理者、衛生管理者、ITパスポート、MOS、語学検定、簿記、FP

労務に関連する資格・検定取得支援の二つ目のタイプは「勉強会型」

資格・検定の取得にあたり、有志による勉強会や講習会を社内で開催するタイプです。

上記の資格では、「勉強会の開催」の回答が最も多かった「社内資格・検定」が該当します。

労務に関連する資格・検定取得支援の三つ目のタイプは「無支援型」

資格・検定の取得にあたり、費用援助や勉強会の開催などは行わず、個人に任せるタイプです。

上記では、「特になし」の回答が最も多かった「社会保険労務士」が該当します。

さわ
さわ

以上、資格・検定取得に対する具体的な支援方法について解説しました。

なお、どのタイプにも共通していえるのが受験に際しての「時間的な配慮」です。

資格・検定の取得支援にあたり、時間的な配慮が求められる理由は次のとおり。

✔ 試験日が出勤日と重なる
✔ 講習会が平日に行われている
✔ 試験前は早めに帰って勉強したい…etc.

具体的な内容は個々の状況によりますが、受験に支障のないよう時間的な配慮をしてくれる企業が一定数あることが示されています。

資格・検定取得の支援対象

上記で、労務に関連する資格・検定取得に向けた支援方法について解説しました。

では、企業が取得を支援する対象は誰なのか?

(独)労働政策研究・研修機構による調査結果は次のとおりです。

各資格・検定につき、
「重視する」の数/各対象を選んだ企業数
を算出し、%形式で表示。

※支援対象はいずれか1つを選択する方式
赤字は各資格・検定のうち最も多かった対象

資格/支援対象全員正社員のみ非正社員のみ支援なし
安全管理者15.978.50.03.1
衛生管理者18.376.30.03.7
ITパスポート20.571.80.00.0
MOS14.366.70.012.9
語学検定31.850.00.015.2
簿記20.952.20.024.4
FP23.146.20.026.9
中小企業診断士25.065.00.010.0
社会保険労務士14.347.60.035.7
社内資格・検定37.956.00.02.6
出典:労働政策研究・研修機構「企業における資格・検定等の活用に関する調査」

上記から、大半の企業で正社員のみを資格・検定取得の支援対象としていることが伺えます。

なお、この正社員のみを対象とする企業割合は、2019年に施行された政府主導の「働き方改革」による影響を多分に受けるものと想定されます。

働き方改革は「同一労働同一賃金ガイドライン」を定め、正規と非正規の不合理な待遇格差是正を企業に求めているからです。

さわ
さわ

不合理な待遇格差には、賃金のほか、福利厚生、キャリア形成・能力開発も含まれます

つまり、キャリア形成や能力開発として資格検定の取得支援を掲げる場合、非正規をその対象から外すには合理的な理由が必要となります。

そのため、現在における資格・検定の支援対象割合は、非正規も含めた従業員全体へ移行した企業が増えているものと推定されます。

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資格・検定取得者への措置

最後に、労務に関連する資格・検定を取得した際の人事管理上の措置について解説します。

(独)労働政策研究・研修機構による調査結果は次のとおりです。

各資格・検定につき、
「重視する」の数/各措置を選んだ企業数
を算出し、%形式で表示。

※人事管理上の措置については「複数回答可」
赤字は各資格・検定のうち最も多かった措置

資格/措置昇進・
昇格
配置・
異動
昇給の
額・率
資格
手当
一時金賞与へ
上乗せ
表彰・
掲示
特に
なし
安全管理者28.237.44.619.02.61.09.224.1
衛生管理者25.231.84.326.211.21.712.524.7
ITパスポート33.312.80.010.341.00.025.612.8
MOS23.823.80.09.538.10.014.319.0
語学検定27.336.46.19.822.72.311.423.5
簿記29.425.98.010.918.41.58.028.9
FP23.119.20.015.434.63.811.523.1
中小企業診断士40.040.05.015.045.00.035.00.0
社会保険労務士28.642.97.116.742.90.011.911.9
社内資格・検定44.023.39.528.411.21.720.714.7
出典:労働政策研究・研修機構「企業における資格・検定等の活用に関する調査」

上記から、労務に関連する資格・検定の取得者に対する人事管理上の措置は3タイプに分けることができます。

①昇進・昇格型
②配置・異動型
③一時金支給型

労務関連の資格・検定取得者に対する措置の一つ目のタイプは「昇進・昇格型」

労務に関連する資格・検定を取得することにより社内の昇進・昇格に反映される場合があります。

該当するのは、昇進・昇格の回答が最も多かった「簿記」「社内資格・検定」です。

その他、上記の調査には含まれていませんが、「年金アドバイザー」も金融機関において取得を昇進・昇格の条件にする企業が多い資格です。

労務関連の資格・検定取得者に対する措置の二つ目のタイプは「配置・異動型」

労務に関連する資格・検定の取得によって、配置転換や人事異動の際に考慮される場合があります

さわ
さわ

企業は、定期異動において従業員個々の保有スキルを判断材料にする場合があるからです。

「配置・異動型」に該当するのは、配置・異動の回答が最も多かった次の資格・検定です。

✔ 安全管理者
✔ 衛生管理者
✔ 語学検定
✔ 社会保険労務士

なお、従業員の保有スキルは、人事や労務部門が人事データとして常に管理・更新しています。

希望部署やポジションに異動できる可能性が高くなるので、資格・検定を取得したら速やかに申告しておきましょう。

労務関連の資格・検定取得者に対する措置の三つ目のタイプは「一時金支給型」

労務に関連する資格・検定を取得した際、一時金として給与と一緒に支給されることがあります。

「一時金支給型」に該当するのは、一時金の回答が最も多かった次の資格・検定です。

✔ ITパスポート
✔ MOS
✔ FP
✔ 中小企業診断士
✔ 社会保険労務士

なお、一時金の名称は「合格報奨金」「祝い金」など企業によってまちまち、金額も資格・検定の種類によって異なります。

一般的に、難易度の高い資格・検定ほど一時金の額は高くなる傾向があります。

ここまで、労務に関連する資格・検定の取得者に対する措置3タイプを紹介しました。

ほかにも、毎月の給与に手当を上乗せする「手当支給型」、資格・検定取得時に対象者を表彰する「社内表彰型」などのタイプがあります。

いずれも、従業員の労をねぎらいモチベーションアップにつなげたり人材流出の防止が狙いです。

異動や配置転換、給料などの面で有利に働く場合もあるので、資格・検定を取得したら早めに職場へ申告しておきましょう。

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まとめ

以上、企業における資格・検定の重視傾向とその中身について解説しました。

労務に関連する資格・検定の取得は、希望の部署やポジションへの異動や給与アップなど、様々なメリットが期待できます。

スキルアップを目指し資格・検定を取得しようか悩んでいる方は、ぜひ挑戦してみることをお勧めします。

別記事で、労務・人事・総務などの管理部門にオススメの資格を紹介しているので、気になる方はこちらもどうぞ。

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